鬱田電子帖

腕相撲で妹に負けたオタク

夢日記

夢の途中で目を覚まし

目蓋閉じても戻れない

さっき迄鮮明だった世界

もう、幻

 

 

 

私は目を覚ました。


ふと周りを見渡すと、そこには薄暗く湿り気を帯びた異様な空間が広がっていた。

私は暫く彷徨い歩いたが、自分が今いる場所も、自分が置かれている状況も、最初は何一つ分からなかった。

しかし次第にその暗夜行路の正体に気付いてゆく。


ピンク色でブニブニと肉のような質感の、筒状の空間。

辺りに充満する饐えた臭気。

足を強く踏み鳴らす度、それに連動して自らの下腹部へと襲いかかる謎の異物感。


私は気づいた。

そう。私は今、私の肛門の中に居るのだ。


私は徐に自らの肛門の中へ腕を突っ込み、私を引っ張り出そうとした。

ゆっくりと菊穴へ侵入していく。まずは指を1本。2本、3本と続いてゆき、やがて肘から上全体が肛門に入っている形となった。出口が入口となる日常の逆噴射。

余談だが、入口(出口)はきつく引き締まっているのに対し、内部はある程度の広さがあり腸壁も柔らかかった。

外キツキツ、中ふわふわうさぎちゃんである。


私は私の中をまさぐり、私を探した。

私は私の手が、私を探しに私の中へと入って来るのを見つけた。

自分の手に掴み掴まれ、腸内を抜けてゆき、やがて出口に辿り着いた。


ようやく外に出られる……そう思ったのもつかの間。

引っ張り出された先は、またもや私の肛門であった。


当然だ。肛門にいる自分が肛門から自分を引っ張りだしたところで肛門から出られる訳がない。

しかし、私は無我夢中になって脱出しようとする。心の何処かで無謀であると薄々知りながら。


延々と自分の肛門に手をねじ込み、肛門から自分をひり出し、自分の肛門へと放り出される作業を何十回、何百回、何千回とループする。

私は「肛門無限回廊」に陥っていた。

先の見えない泥沼、もとい糞沼に嵌り、踠いても足掻いても抜け出せない。

 

 

夢ならば、どれほど良かったでしょう。