鬱田電子帖

腕相撲で妹に負けたオタク

自分が数年前に暮らしていた家についてお話します。(怪談)

父の実家で祖母が暮らしていました。祖母が他界したのち暫く放置されていましたが、税金やら当時住んでいたマンションの家賃やらの問題でそこへ引っ越しました。

 

あの家を一言で表すなら「廃墟」でした。良く言えば年月を偲ばせる歴史ある古民家、悪く言えば耐用年数をとうに過ぎた廃屋でした。

たぶん衛生環境は香港の九龍城砦ナウシカ腐海並みだったと思います。どう考えても文明人の過ごすべき居住地ではなかった。

もはや日本国憲法第25条「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」に違反している域でしたが国は何もしてくれませんでした。マザ○ァカ!

 

天井は雨漏りでグズグズに腐敗しきっており、時折得体の知れないキノコが群生していました。

キノコというよりモヤシに近い見た目でした。いかにも「自分毒持ってます!」みたいなカラフルな見た目でなかったのがせめてもの救いでした。マリオのスーパーキノコみたいなのが生えててもおかしくない程度には水分や養分を含んだ肥沃な天井だったんですがね。

 

壁の中はネズミ達の住処と化していたらしく、カサカサ、チューチューなどバリエーションに富んだ生活音が聞こえてきました。音の数からして結構な数のネズミが暮らしていたらしく、一つのコミュニティだかコロニーだかを形成していた事が伺い知れました。

壁を殴ると一瞬だけ静かになります。

 

ネズミだけでなく蜘蛛や百足やゲジゲジといった多足類、蛇やトカゲだかヤモリだかの爬虫類などなど、他種多様な「ゆかいなもりのなかまたち」が遊びに来てくれました。

もちろんほとんどのお友達はお帰りにはなりませんでした。

駆除を免れたのは台所に侵入してきた野良猫と、おそらく猫が捕まえてきたモグラくらいでした。

猫は多くの小動物を狩っては食べますが、なぜかモグラだけは捕まえるだけ捕まえて食べはしない事が分かりました。

多分ですが土を飲みこんでてジャリジャリジャリするから嫌なんだと思います。アサリかな?

 

で、まあそんなプリミティブかつエキサイティングな家でかれこれ4、5年過ごしたのち、母が精神病になったのを機にようやく「健康で文化的な最低限度の生活が可能な家」に引越したのでした。おせーよ。